焼き肉屋店主の主張 其の四十六

今、ロシア国内では、「頭脳流出」が進んでいて、ロシア人経済学者の推計によるとウクライナ侵攻開始以降、20万人ものロシア人が、国を離れたと言います。
その背景には、新たな「国家反逆法」が施行されていて、ウクライナへの支持を表明した者は、20年以下の禁固刑が科される可能性があり、閉ざされた国境や政治的抑圧に強制的な兵役に対する恐怖は、ロシア知識層のDNAに刻まれていて、スターリン政権下の恐怖に包まれた暮らしと同じ状況下にあるそうです。
西側諸国の経済制裁により疲弊するロシアは、精密工業部品の調達が、難しくなり長期化するウクライナ侵略戦争の消耗により、天然資源に頼る経済力だけでは、ロシアの弱体化が進むと予想されています。
日本の岸田さんを含めたG7首脳は、ロシアの戦費調達に協力する資源輸入に対し、断固拒否する姿勢を明示しましたが経産省の萩生田大臣は、不満のようで「勇ましい事を言う人が、たくさんいるが国民生活や経済を守らなければならない。結果として、エネルギー価格の高騰が付いてくるので国民の理解を得られない。」と語っていますが、禁輸の目的を国民に説明し、その影響を極力回避するのが、彼方の責務です。
「日本の資源には、限りがある」と否定的な見解は、何処に忖度した発言なのでしょうか。
世界各国からは、「日本には、エネルギーとしての原発があるじゃないか。」と言われている事は無視し、ロシア権益に盲進する姿は、権益者の守護神のようです。
欧米の石油メジャーは、ロシア事業からいち早く撤退を決めて、多額の損失を計上しています。
岸田さんや萩生田さんは、今後もロシアに資金供給するサハリン事業の権益を維持して、国際社会の理解を得られると思考するのであれば、やはり利権に群がる残念の人で、日本の信用を毀損してしまいます。
ロシア産石油の禁輸を発表した事により、岸田政権の支持率が上がった様に、多くの国民は、すすむべき道を十分に理解しています。
省益ではなく、国益を守る事が岸田政権の使命で、責務です。
プーチン侵略戦争の結果、世界情勢も安全保障環境も激変した現在、欧米諸国が、完全に適応しつつある中、我国の認識は、緩く鈍い代表例を御紹介します。
同志社大大学院教授で、内外メディアにコメンテーターとして、活動する浜矩子なる人物は、AERAで日本国憲法の前文の「日本国民は〜平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、これらの安全と生存を保持しようと決意した。」と在る原本前文英文の戦勝国憲法の強制決意表明に、平和を愛する諸国になるロシアによるウクライナ侵略、ジェノサイドを知っても「何時読んでも、この決意表明には、胸が打ち震える。他者を信じて疑わず、そこに自分の安全と生存を委ねてしまう。何たる勇気、何たる清廉」「至高と考える決意表明」と絶賛していました。
教育に携わらない人物の戯言は、戯れ言として、拝聴できますが、国民の安全保障に責任を持たない教育者の発言は、慎重で在るべきだと私は、思います。
浜さんは、安倍元総理をアホノミクスの大将と全否定している様ですが、国民を安心させる為の「日銀は、政府の子会社」と発言した安倍さんに「日銀の独立性を脅かす発言だ。」と噛み付く左派マスコミや左派野党と同じレベルの御見識の様です。
日銀で講演した元FRB(連邦準備制度理事会)議長のバーナンキさんは、「子会社としての独立性があり、日々のオペレーションについては、親会社から指示は受けず、支持を受けるのは、大きな方針だけ」とFRBホームページにも講演原稿が、前文記載されているにも拘らず、日本の左派マスコミは、「日銀の独立性」「反権力」が目的なのか、重要な文脈を削除して報じているのは、報道しない自由だとでも言うのでしょうか。
独立性を「完全な独立性」にしたいのか、勘違いなのか定かではありませんが、子会社で完全なる独立性と言う事は、あり得ません。
日銀の独立性は、手段の独立と目的の独立の違いで、中央銀行の独立は、「手段の独立性」です。
子会社として、日々の金利の上げ下げのような、オペレーションについて、指示は受けないと言う意味での独立性です。
この事をバーナンキさんが、講演で明確に述べています。
そもそも、政府が、日銀の出資権55%を持っていて、役員の任命権に予算の認可権も在る事からも、会社に例えて国民に分かり易い表現の子会社発言は、問題にならないと思うのですが、アベノミクス然り、も坊主憎けりゃ袈裟まで憎い発想から「悪い円安」を主張する左派マスコミや左派識者達は、日銀に国内経済を無視した為替レートありきの政策に戻せと言うに等しい無責任な主張です。
1985年のプラザ合意は、米国の貿易赤字を解消する為に各国に協調的なドル安通貨高政策を採る様に政治的圧力のもので、日本では、日銀のドル、円為替レートが、政策目標になっていた様ですが、日銀は、認めていません。
この事から90年代以降から2012年までの円高シンドロームによりデフレは、深化して雇用は悪化し、日本の現実と潜在的な成長率は、大きく奪われました。
いわゆる「失われた20年(プラスアルファ)」です。
アベノミクスの政策転換により、円高シンドロームは、終わり雇用や成長率が、それ以前よりも大きく改善するのは自明です。
経済学者のローレンス・サマーズ元財務長官は、「高インフラに苦しむ米国と、低インフレ状況の日本とでは、当然に金融政策の在り方が違う。」と強調し、日本では、金融緩和の継続が正しい語っています。
又、フィナシャルタイムの社説では、「悪い円安」=「金融緩和の停止」に手厳しい批判をしていて、岸田政権が、世論などの圧力で円安抑制と金融引き締めに転じる事を「百害あって一利なしに近い」と断じています。
岸田さんは、良く検討して下さい。
5月11日に経済安全保障推進法案が、「セキュリティクリアランス制度」を盛り込まず成立しましたが、産業界からは、西側企業と共同研究、開発が出来なくなる可能性を危惧していて、経団連は、「相手国から信頼されるに足る実効性のある情報保全制度の導入を目指すべき」との提言を岸田政権に提出しています。
セキュリティ・クリアランスは、安全保障に関わる機密などを取り扱う個人の適性を評価し、情報にアクセス出来る資格を与える制度で、人工知能(AI)やサイバーセキュリティなど先端技術の情報に触れられる民間人を特定して置く事で、情報漏えいを防ごうというものです。
当然、経済安保法の実効性を高める為に必要な身辺調査がありますが、左派野党は、個人情報保護の観点を過度に結び付けたい様で、対象者は、特別の人に限られます。
岸田さんは、夏の参院選を前に、2013年の特定秘密保護法成立時の野党の抵抗を考慮した判断だったとは思いますが、サイバーセキュリティに関する国際会議では、機微な会議には、適性評価を有していない事から参加する事が、出来ない状態が続いている事からも、参院選後には、政権安全運転ではなく野党の反対を押し切ってでも速やかにセキュリティ・クリアランス制度を成立させ、経済安保法を完成させる事で、国益が守られるのではないでしょうか。
日本では、大戦の敗戦後77年間も「経済と安全保障は、別物」という認識が強く、今まで自由気ままにお金儲けをする方が、先に立つように国が、率先して奨励してきたようですが、軍事や国家の危機管理は、経済とコインの裏表のように表裏一体です。
化学の学問、技術やネジ一本の精密工業技術も国を支える安全保障で、世界の民主主義を支えるのが、経済安全保障なのです。
習中国共産党は、3月に開かれた全人代で、「安定供給」の強化方針を打ち出し、産業に必要な原材料や重要部品の国産化とサプライチェーン(供給網)の構築を加速させています。
同じ専制制度を採るロシアのウクライナ侵略を反面教師に対立の長期化に耐えうる自給自足のサプライチェーン作りを目指しているようです。
皆さんも経験した中国コロナ感染症の大流行時に、中国製品の輸入に頼っていたマスクが、中国の輸出規制により手に入らない事態が起きてしまいました。
しかも、日本企業の中国工場から日本に出荷出来なう異常さが、専制主義の共産国家での生産には、リスクが付きもので、有事には機能しない事が分かります。
現在、プーチン侵略戦争により中国からの工業部品が、滞り価格が、倍増している現状は、日本の国家大戦略のミスリードだったのではないでしょうか。
そもそも大戦略が、あったのかどうか怪しいのですが、世界環境の激変に政府は、大戦略を練り直さなければならない新時代が、始まっています。
日本版サプライチェーンの構築は、急務で新日鉄を頂点に、物作りが弱体した下町工場を復活させる為にも、日本的形態のコンツェルンが、求められているのではないでしょうか。
コンツェルンは、ドイツ語で企業結合のうち、異なった業種に属する多数の大企業が、資本的に結合した総合的な企業グループで、米国においては、利益集団と言われる結合がこれに当たります。
ピラミッド型の底辺から利益を吸い上げるのではなく、底辺を育てる事が、物作り日本の底力に繋がる新生日本の近道だと思考します。
岸田政権には、是非検討をお願いして終わります。
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