これで日本は独立国といえるのか?

日本空域の現状

一水会 代表 木村三浩氏 寄稿

去る四月二十八日、安倍晋三首相は「主権回復の日」記念式典を、天皇皇后両陛下ご臨席のもと、憲政記念館において挙行した。
今年三月十二日に政府は「我が国は完全なる主権を回復した」という閣議決定を行い、記念式典開催の意義を確認した。
しかし私は、我が国の主権が回復されたとは思っていない。
大東亜戦争終結から七十年近く経過した今日もなお、我が国は真実の独立国家になっていないのである。
極端なことを言えば、未だ我が国は米国の占領下にあると言っても過言ではないのだ。
以下、今日の我が国が抱えている占領継続体制の一部をここに指摘して、読者諸氏の喚起に努めたい。
 まず第一に、我が国の「空」の現状を考えてみたい。
我が国の中枢である首都圏において、一都八県に亘る広大な空域が米軍・横田基地の管制下に置かれている。
これは「横田管制空域」―別名「横田ラプコン」と呼ばれるもので、民間機がこの「横田ラプコン」を飛行するには米軍の許可や指示を受けなければならず、その手続きの煩雑さを回避するため、羽田空港から西日本や海外へと向かう民間機は、離陸直後から激しく上昇させつつ右旋回をせざるを得ない。
これは、ひとえに「横田ラプコン」を避けるための処置に他ならず、こうした「横田ラプコン」の現状について、平成二十五年二月十二日の衆議院予算委員会において、前東京都知事の石原慎太郎氏は模型を用いて安倍首相に説明し、同空域の我が国への返還を訴えた。
我が国において米軍の管制下に置かれている空域は、「横田ラプコン」のみにとどまらない。
沖縄県にいたっては、久米島含め本島上空全てが、米軍・嘉手納基地の管制下に置かれている有様だ。
このような現状で我が国の空域が未だ米軍管制下になっていることは、実に情けないのではないか。
 第二に、米国による対外有償軍事援助(以下、FMSと略す)の問題が挙げられる。
FMSとは米国防総省が実施している対外軍援助プログラムであり、米軍が自国製の兵器を有償で提供・輸出するというものでる。
このFMSによって、我が国は「欠陥商品」を、そのパーツも揃わぬままに大量購入することを余儀なくされているのだ。
 たとえば、我が国は次期主力戦闘機としてF35戦闘機を導入することを決定している。
しかしこのF35は、我が国の機種選定の前から、既にそのステルス性や空対空の戦闘能力について疑念が呈されていた。
それにも拘わらず、我が国はこのF35の量産化が遅れたことで、平成二十九年三月までにF35の最初の四機をFMSにより輸入する時点では、戦闘性能が未完成である初期型を導入することがほぼ確実となってしまっている。
これだけでも俄かには信じがたい話であるが、FMSでは米国の都合で価格や納期を変更しても契約違反を問えないため、仮に訓練飛行や実戦配備の段階で事故が発生したとしても、我が国は米国の責任を追及出来ないのである。
FMSではさらに、我が国の防衛産業が米国企業の下請けという制約下での参加を余儀なくされるため、F35の頭脳部分にあたるソフトウエアに関与することが不可能となってしまう。
これは、我が国が戦前より積み重ねてきた航空技術の歴史に終止符が打たれることを意味する。
FMSが続く限り、自主防衛の気概、軍備の国産化などは、ただの絵に描いた餅ということになる。
だからこそ、我が国はまず何よりもこのFMS体制の撤廃をしなければならないのである。

こんな事態があるのか?

第三に、日米地位協定の問題が挙げられる。
昭和三十五年、日米安全保障条約第六条に基づき締結された日米地位協定は、我が国に対し米軍基地の提供とその維持および円滑な運営などを定めている。
同協定第十七条一項では、「合衆国の軍当局は、合衆国の軍法に服する全ての者に対し、合衆国の法令により与えられたすべての刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有する」とし、米軍が第一次裁判権を持つとしている。
 第十七条五項(C)ではさらに「日本国が裁判を行使すべき合衆国軍隊の構成員又は軍属たる被疑者の拘禁は、その者の身柄が合衆国の手中にあるときは、日本国により公訴が提起されるまでの間、合衆国が引き続き行うものとする」と定めている。
この規定により、米国が先に被疑者の身柄を拘束した場合、その身柄が引き渡されるのは検察による起訴の後とされるため、我が国の警察は起訴までの間に充分な捜査を行う事が出来ない。
さらには重大事件であるにも拘らず、米国が「身内の行為」として不当に寛大な処分を下す恐れすらあるのである。
 日米地位協定において、米軍の将兵個人には外交官並みの特権が保証されている。
第九条二項では「合衆国軍隊の構成員は、旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される。
合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族は、外国人の登録及び管理に関する日本国法令の適用から除外される」としており、米軍の将兵、軍属には外国人登録の義務がない。
我が国への出入国に際しても、米軍施設を通じて入境すれば出入国管理及び難民認定法、出入国管理の対象外となるのである。
我が国をパスポートコントロールなく自由に行き来できるのである。
主権国家でこんなことがどこにあるのか。
とんでもない状況である。
 日米地位協定が抱えている問題点はまだある。
同協定第三条一項では「合衆国は、施設及び区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての処置を執ることができる」と定めており、基地内は完全に米軍の支配下に置かれている。
さらに第四条一項では「合衆国は、この協定の終了の際又はその前に日本国に施設及び区域を返還するに当たつて、当該施設及び区域をそれらが合衆国軍隊に提供された時の状態に回復し、又はその回復の代わりに日本国に補償する義務を負わない」としている。
米軍から返還された土地の土壌からは、ポリ塩化ビフェニル(PCB)などの有害物質が発見された事例もあり、これらの土壌の除染作業は我が国政府が負担しなければならない。
米国内では、たとえ軍施設といえども環境基準を遵守することが義務付けられており、この点においても日米地位協定は名目上は協定であるが、実態は不平等協定に他ならない。このように、我が国はまさしく占領下といってよい現実が存在している。
 まだまださまざまな問題があるが、今回は上記三点にやめさせて頂きたい。
いずれにせよ、我が国が真の独立国になるために牽強付会があってはならないということである。
大和魂の復権は当然としても、現実に置かれている体制を変えていかなければならないのである。
「我々は微力かもしれないが無力ではない」ことを天下に示し、日本の真の独立のために奮闘努力していきたい。

 

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