石原都知事が定例会見で、購入対象としていた魚釣島・北小島・南小島の三島に加え、久場島も取得すると発表した。
所有者を統一するためだ。
久場島は防衛省が賃借し、米軍も使用できる射爆場となっている。
東京都が募集している寄付金の額が十億円を超える中で、 丹羽宇一郎駐中共大使が東京都の尖閣諸島購入計画について
「実行された場合、日中関係に深刻な危機をもたらす」との見解を英紙に述べたことが明らかになった。
産経新聞は、「日本固有の領土である尖閣諸島を守り、実効統治を強めるための計画を真っ向から否定する発言は国益に反しよう。
中国による不当な領有権主張を後押ししかねず、更迭すべきだ。」と怒りを表している。
一方で、藤村官房長官は「個人的な見解であり、政府の立場を表明したものではない」と大使を擁護したので与党からの反発も大きくなっている。
外務省は「政府の立場とは異なる」と丹羽氏に注意し、丹羽氏は「大変申し訳ない」と謝罪したという。
謝罪で解決される問題ではない。
丹羽氏は先月、訪中した横路衆院議長と習近平国家副主席の会談に同席した際にも、尖閣購入を国民の大半が支持していることに
「日本の国民感情はおかしい」などと述べた。
丹羽宇一郎は、伊藤忠商事会長・社長、日本郵政株式会社取締役、認定特定非営利活動法人国際連合世界食糧計画WFP協会会長などを歴任の後、
平成22年6月から中華人民共和国駐箚特命全権大使を務める。
特命全権大使とは、外交使節団の長で最上級の階級である。
接受国の元首に対して派遣され、外交交渉、全権代表としての条約の調印・署名、滞在する自国民の保護などの任務を行う。
国際連合などの国際機関の政府代表部に対しても派遣される。
このような要職にありながら、個人的な発言などありえない。彼の発言は日本を代表する公人として影響を与えるのだ。
彼は名古屋大学在学中には自治会会長を務め、学生運動家として60年安保闘争では先頭に立ったという。
左翼思想の持ち主である。
卒業後、伊藤忠商事に入社。実力を発揮した。
平成10に代表取締役社長に就任。多額の負債を抱えていた伊藤忠商事の業績をわずか3年間で、過去最高の705億円の黒字を計上するまでに回復させた。
平成16年から取締役会長となり、平成22年より取締役相談役に転じた。
中共政府とのパイプを持つ財界人として、菅直人前政権下の平成22年6月、初の民間出身の駐中国大使に起用された。
これも菅直人の汚点のひとつだ。
親中派の丹羽の発言は問題が多い。
赴任前のパーティーで中共の軍事力増強に触れ、「大国としては当然のことといえば当然かもしれない」と述べた。
中共のような低レベルの国家を、「大国」と表現すること自体チャイナスクールの影響か。
赴任後も、役割を終えた対中政府開発援助(ODA)を関係改善のために「続けるべきだ」と主張したりした。
「政治主導」と「脱官僚」を目指した丹羽の起用は失敗だった。
民主党政権に反省を求めても後の祭りだ。
丹羽は「日本は変わった国なんですよ」と語っていたという。
「あの人は中国べったり。外交官じゃなくて商社マンだ。重視しているのは国益か社益か分からない」という側近もいる。
丹羽起用を主導した岡田克也副総理も今では、彼が大使として機能していないことを暗に認め、周囲に「政権交代のコストだ」と漏らしているという。
外交の重要性を理解できない民主党政権が、専門家でも何でもない民間人の駐中共大使起用という過ちを犯し、それを受けた丹羽は何を得ようとしたのか。
マズローの法則という欲求の5段階説がある。
人間はまず第1次的欲求によって動機づけられるが、適度に満たされてくると、より高次の第2次的欲求によって動機づけられる。
更に第3次的欲求と続いて、これが人間のモチベーションの要因となるという説だ。
人間の欲求は次の①→②→③→④→⑤の順番に進行する。
①生理的欲求(食欲・睡眠・性欲)
②安全性欲求(住居・衣服・貯金)
③社会的欲求(友情・協同・人間関係)
④自我の欲求(他人からの尊敬・評価される・昇進)
⑤自己実現欲求(潜在的能力を最大限発揮して思うがままに動かす)
丹羽は、最後の自己実現欲求を求めている。
大企業の社長を得て、まだなおもっと大きな欲求がある。
「名誉」という欲求だ。
危険な欲求とも言える。
ある者は、独裁者になり、ある者は神になりたがる。松下幸之助氏のような人物は希少なのである。
丹羽はどのような「勲章」を求めているのだろう。
先月の日中首脳会談で、温家宝首相は譲れない国家利益を意味する「核心的利益」という言葉を使用した。
尖閣を譲れないと言う考えを明らかにしたのである。
日本国内に多くのスパイを暗躍させ、その上、日本の領土を奪取しようとしている。
危険な時期に来ているから、石原都知事が動いたのである。
丹羽は大使として国益を踏まえ、日本の立場で相手と会談すべきであった。
彼を「売国奴」と思っているのは私だけであろうか。
石原都知事は丹羽大使の発言にこう批判した。
「もう少し自分の国のことを勉強してものを言え。じゃなきゃ大使の資格はない。」
しかし、丹羽の発言で多くの国民が怒り、愛国の精神を持ったことだろう。
おかげさまで、マスコミも騒いでくれ現政権の腐敗と外交の重大さを学ぶことができた。
丹羽大使には大いに感謝しなくてはならない。
投稿者 中尾 直