推奨図書 3

戦跡を歩く 牧野弘道〔著〕

韓香港、沖縄、サイパン島・テニアン島、パラオ・ペリリュー、レイテ島…。文字通り「戦跡」を歩きながら戦争を真正面から受け止め、戦跡をとりまく美しい自然と国家の命のままに戦った兵士達の働きを美しい文章で描き出した書籍。

敗戦後、共産主義が最終の勝利者となると人々が真顔で主張する時代があった。 その時代においては、兵士達の戦場は「借り出された挙げ句の死に場所」に過ぎず、その戦跡は屈辱と悲哀の血にまみれ、戦没者の遺族は涙と共に声もなく故人を偲ばねばならなかった。   しかし五十七年の時が経ち、「先の大戦」は何故に起こり、何故に敗北したのか、一体どの国が「善」で、どちらが「悪」で、「裁判」等と言う虚構が正義といえるのか等々…。歴史を冷静で客観的に見つめなおす事ができる時代がやってきた。   この時にあって著者は、日英両軍がよく戦った香港柴弯の英軍墓地を訪れ、ただ「勇者の名は永遠に」とのみ刻まれた碑に静かな感動を覚え、一方沖縄においては「平和の碑」に頭を垂れたあと、洞窟に避難した老幼婦女子を鬼の形相で威嚇するヤマトンチューの人形の存在に胸を傷めている。

筆者は最後にこの言葉をかみしめていた。「戦争は忘れるべきものではなく、語り継ぐべきものである」

発行:集英社

 

9・11と日本外交 久江 雅彦〔著〕

昨年の米同時多発テロ発生後、日本の対応策に悩んだ、柳井俊二駐米大使はブッシュ政権一の親日派であるアーミテージ国務副長官を秘密裏に訪れ、ブッシュ政権の本音を聞き出した。本書ではこのアーミテージ・柳井会談から話を掘り起こし、「主体性」を強調する小泉政権のテロ対策への取組みが、いかに「主体性」ではなく、「外圧」によって引き起こされたかを明らかにすると同時に、その外圧を巧みに利用して自衛隊の海外派遣を実現した外務省や防衛庁「制服組」の思惑や、彼等と終始衝突した防衛庁「内局」の官僚たちとの熾烈な暗闘を綿密な取材で描き、日米同盟や日本の政策決定過程の実像を浮き彫りにしている。第一に優先すべき、国家や国民の利益という根本的な問題を深く議論することなく、首相官邸、外務省、防衛庁内局、制服組等が時々の力関係や距離感によって対立や妥協を繰り返し、場当たり的に対応策をまとめて行く構造から抜け出せずにいる日本外交の現状を痛烈に非難している。

発行:講談社現代新書

 

百年の遺産 -日本近代外交史七十三話- 岡崎久彦〔著〕

陸奥宗光、伊藤博文、小村寿太郎、幣原喜重郎、東郷茂徳、吉田茂ら、日本の近代外交史を主要な政治家や外交官たちの足跡にスポットをあて、豊富なエピソードを交えて、その時代の動きを検証。

ペリー来航からサンフランシスコ講和条約発効による占領の終了までちょうど百年。それからまた五十年経ったが、この間、日本はいまだに自らアイデンティティーを見いだせないでいる。 その前の日本には強烈なアイデンティティーが確かにあった。世界に誇る文治社会を作った徳川三百年、明治の忠君愛国、日本人自らの手で達成した大正デモクラシー、アジアの覇者とし矜持を持った戦争期、そして全体を貫くサムライ精神である。それらは一体どこへ行ってしまったのか。 戦後の日本は終わったと叫ばれながら、戦後五十年経って、国会でも新聞でも議論されているのは、憲法第九条や靖国参拝問題など、戦争の後遺症がほとんどである。 この本には、歴史の事実を事実として追求されている。

発行:産経新聞ニュースサービス

 

テロ国家・北朝鮮に騙されるな 西岡 力〔著〕

「日朝平壌宣言」は茶番に過ぎない。北鮮は本当に追い込まれているのか?拉致された日本人は戻ってくるのか? 当代随一のコリア・ウォッチャーが多角的視点から分析。

現在、朝鮮半島で大変化が起きる可能性が高まっている。金正日が日本人拉致を認めた小泉総理訪朝は、その前触れとも言える。この激動を、日本は国家の主権と国民の人権を最大限に活かす形で迎えることができるのだろうか。 政府認定で十一人に及ぶ日本人拉致問題に関して、著者は平成三年の時点で北鮮が少なくとも十五人の日本人を拉致し、工作員の日本人化教育とその日本人になりすますために使っていたことを指摘した論文を発表していた。しかし、発表後、事の重大さを論じる声よりも、著者自身の危険を心配する声の方が多かったと言う。 昨年「歴史的な会見」とうたわれ「日朝平壌宣言」は発せられたが、そんなものは何の効果も持たない。著者によれば、北鮮はすでに日本を射程に入れた核ミサイルを五基以上持ち、米本土にまで届く大陸間弾道ミサイルも完成間近となっているという。金正日が東京やニューヨークに核ミサイルを発射したり、韓国で反米暴動が起き、長距離トンネルを通じて侵入した北朝鮮特殊部隊が主要施設を占拠するという悪夢のシナリオを防ぐことができるのだろうか。   現在、北鮮に対する報道は「拉致問題」一色だが、その陰で進行している恐ろしい現実に、多くの日本人は気づいていない。 その一方で、平和ボケの日本政府はすでに約一兆円を朝銀信組に投入して金正日への送金の穴埋めを行っている。序章にすぎない「拉致問題」の影で進められる驚愕の陰謀に迫る。

発行:PHP研究所

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