暴力団排除条例の廃止を求める表現者の共同声明。

 

(2012(平成24)年4月8日日刊ゲンダイに掲載された記事)
(宮崎学オフィシャルページより引用)

表現者声明文
表現者「共同声明」とその後2012年・平成24年1月24日、佐高信、田原総一朗、つじ辻井喬、西部邁、宮崎学氏らが記者会見をし、「『暴力団排除条例』の廃止を求め、『暴対法改定』に反対する表現者の共同声明」を発表した。その時点では改定の詳細は不明であったが、その危険性に関する最初の問題提起であった。本章では、「共同声明」本文とその後の賛同者一覧を掲載した。さらにこれにつづいて弁護士たちによる反対の意思表明がなされたので、これに賛同した141名の氏名を掲載した。また、2月発表された、警察庁企画分析課による「説明」資料(107項)及び閣議決定に関するマスコミ各社の報道の一部を収録した。2011年・平成23年10月1日に東京都と沖縄県が暴力団排除条例(「暴排条例」)を施行した。 その結果、全国都道府県で暴排条例施行されることになった。こうした事態にいたるまで、わたしたち表現者が反対の意思表明ができなかったことを深く反省する。 わたしたち表現者も、安全な社会を否定するものでは決してない。しかし、その「安全な社会」の実現を謳いながら、「暴排条例」は、権力者が国民のあいだに線引きをおこない、特定の人びとを社会から排除しようとするものである。これは、すべての人びとがもつ法の下で平等に生きていく権利を著しく脅かすものである。 暴対法は、ヤクザにしかなれない人間たちが社会にいることをまったく知ろうとしない警察庁のキャリア官僚たちにより作られた。さらに危険なことは、暴力団排除を徹底するために、表現の自由が脅かされることだろう。 条例施行以後、警察にによる恣意的な運用により、ヤクザをテーマにした書籍、映画などを閉め出す動きを始め、各地各方面で表現の自由が犯される事態が生まれている。こうしたなかで、金融、建設、港湾、出版、映画などさまざまな業界で、「反社会的勢力の排除」「暴力団排除」をかかげた自主規制の動きが浸透しつつある。萎縮がさらなる萎縮を呼び起こす危険が現実のものになっている。 いまからでも遅くない。暴排条例は廃止されるべきである。 こうした流れのなかで、新年早々から、一部の勢力が暴対法のさらなる改悪を進めようとしていることに、わたしたちは注意を向けなければならない。 かねて福岡県知事らは、法務省に対して暴対法の改定を求めて要請を続け、これを受けて警察は暴対法に関する有識者会議を開催して準備を始めている。 そこでは、現行法のさまざまな要件の緩和、規制範囲の拡大が検討されている。昨年暮れには、福岡県知事らが暴力団に対する通信傍受の規制緩和やおとり捜査・司法取引の積極的導入を法務大臣に直接要請したことが報じられた。 暴対法がこうした方向で改悪されるならば、表現の自由、報道の自由、通信の自由、結社の自由などの国民の基本的権利はさらなる危機に立つことになるだろう。 ヤクザの存在は、その国の文明度を示すメルクマールでもある。たとえば北朝鮮にはヤクザいないと言われている。戦前の社会主義者の規制が全国民への弾圧に拡大したように、暴対法は「暴力団」の規制から国民すべてを規制する法律として運用されることになるだろう。これは、わたしたちに「治安維持法」の再来を含めた自由抑圧国家の成立を想像させる。 わたしたちはこうした動きに強く警戒し、強く反対する。わたしたち表現者は、自由な表現ができてこそ表現者として存在できるのであり、表現者の存在理由を否定し、「自由の死」を意味する暴排条例の廃止を求め、暴対法の更なる改悪に反対する。

【賛同者】2012年3月28日現在・五十音順 青木理(ジャーナリスト) 猪野健治(ジャーナリスト) 植草一秀(経済評論家) 魚住昭(ジャーナリスト) 大谷昭宏(ジャーナリスト) 岡留安則(元『噂の眞相』編集長・発行人) 小沢遼子(評論家) 角岡伸彦(ジャーナリスト) 萱野稔人(哲学者) 喜納昌吉(ミュージシャン) 行徳哲男(日本BE研究所所長) 栗本慎一郎(有明教育芸術短期大学学長、評論家) 斎藤貴男(ジャーナリスト) 齋藤三雄(ジャーナリスト) 佐高信(週刊金曜日編集委員) 佐藤優(作家) 設楽清嗣(東京管理職ユニオン執行委員長) 鈴木邦男(一水会顧問) 須田慎一郎(ジャーナリスト) 高野孟(評論家) 高橋伴明(映画監督) 田原総一朗(ジャーナリスト) 辻井喬(詩人、作家) 西部邁(評論家) 日名子暁(ルポライター) 平野悠(ライブハウスロフトオーナー) 三上治(評論家) みなみあめん坊(部落解放同盟) 南丘喜八郎(『月刊日本』主幹) 宮崎学(作家) 宮台真司(社会学者・首都大学東京教授) 山平重樹(ジャーナリスト) 若松孝二(映画監督)

連絡先 千代田区西神田2-7-6 同時代社気付
川上 徹 メール kawakami@doujidaisya.co.jp
Fax 03-3261-3237

(宮崎学著「あえて暴力団排除条例に反対する」より引用)

弁護士声明文
暴排条例の廃止を求め、暴対法改正に反対する2011年(平成23)年10月1日、東京都と沖縄県に暴力団排除条例(以下、「暴排条例」)が施行されたことにより、暴排条例は全国で施行されたこととなった。しかしながら、暴排条例は、以下のとおり憲法上の疑義があり、速やかに廃止されるべきである。 すなわち、暴排条例は、事業者が、いわゆる暴力団関係者等への利益供与を厳しく禁止するという形をとって、結局は一般事業者との正当なあらゆる取引を封じるものであり、事業者に対しては、憲法22条1項等により保障される営業活動の自由を侵害するものであるし、暴力団関係者に対しては、その生活そのものを否定し、憲法13条、25条等において保障される幸福追求権、生存権を侵害する不当な差別であって、憲法14条にも違反する。 さらに暴排条例は、その規制の対象が曖昧であって、警察当局が直接の判断を行うことから、警察権力の恣意を招き、その権限が拡大して、「反社会的勢力」排除の名の下に市民の自由に対する脅威となることが懸念される。

また、今通常国会においては、いわゆる暴力団対策法(以下、「暴対法」)の更なる改定が予定されると聞くが、そこでは現行暴対法の様々な用件の緩和とともに、通信傍受やおとり捜査、司法取引の積極導入などがもくろまれているとされる。 しかしながら、そもそも、暴対法自体、憲法21条1項により保障される結社の自由との関係で問題が多く、その各種要件緩和はさらに問題といわねばならない。また、通信傍受の拡大はもとより、おとり捜査、司法取引などといった「新たな捜査手法」の導入は、暴力団(「反社会的勢力」)規制を口実に刑事控訴法の改悪を企図し、ひいては市民の自由を侵害するものであって、適正手続きの保障を定めた憲法31条に反するものである。
よって、我々はこうした動きに反対し、暴排条例の廃止を求め、暴対法の改定に反対する。

2012(平成24)年2月29日

【賛同者】(3月11日現在・50音順)

青山友和/赤松範夫/秋田光治/浅井正/足立修一/阿部浩基/阿部潔/荒木和男/荒木貢/淡谷まり子/井口克彦/池谷昇/石田法子/赤松範夫/秋田光治/浅井正/足立修一/阿部浩基/石松竹雄/位田浩/市川守弘/伊藤明子/岩井信/岩月浩二/上田國廣/上原康夫/内田雅敏/浦功/江島寛/江野尻正明/遠藤達也/及川智志/大川一夫/大口昭彦/大崎康博/大搗幸男/岡田基志/岡村正淳/長部研太郎/小田幸児/織田信夫/角山正/笠井治/加藤克朗/加藤晋介/加藤高志/加藤孝則/加納雄二/亀田悦廣/川口和子/河田創/河村武信/河村正史/寒竹里江/菊田幸一/岸上英二/北潟谷仁/喜田村洋一/北本修二/木村壯/木村修一郎/休場明/久保豊年/黒田和夫/桑原育郎/古賀康紀/小島秀樹/小関眞/児玉晃一/後藤貞人/小林將啓/齋藤護/齋藤拓生/坂入高雄/坂野智憲/坂和優/佐藤典子/里見和夫/澤田恒/志賀剛/幣原廣/篠崎淳/柴田信夫/下村幸雄/下村忠利/菅充行/菅野昭夫/鈴木一郎/空野佳弘/高江俊名/髙木健一/高橋敬幸/高藤利秋/髙見秀一/田中清治/田村公一/陳愛/塚本誠一/辻田博子/恒川雅光/鶴見俊夫/出口治夫/寺崎昭義/遠山大輔/栃木義宏/富崎正人/内藤隆/中川瑞代/永嶋里枝/永嶋靖久/中谷雄二/中野新/中道武美/永見寿実/七尾良治/南郷誠治/二宮純子/丹羽雅雄/布谷武治郎/信岡登紫子/羽柴修/長谷川純/濱崎憲史/林千春/日隅一雄/弘中惇一郎/藤田充宏/藤田正隆/藤原精吾/船木友比古/本田兆司//田裕司/前田恒善/松井武/松原祥文/三上睦/水永誠二/三溝直喜/美和勇夫/武藤糾明/門間久美子/八重樫和裕/安田好弘/安田修/山崎吉男/山下俊之/山田有宏/山之内幸夫/山本志都/山脇哲子/横井貞夫/吉田孝夫/吉田恒俊/若松英成/渡辺千古/渡邊博 以上152名

(宮崎学オフィシャルサイトより)

 

 

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