凧が誕生したのは、紀元前四世紀の頃。ギリシアのアルキタスが友人プラトンの肖像を描いてあげたのが最初だといわれています。中国では紀元前二世紀、漢の武将韓信が凧を敵陣の空に揚げ、距離を図ったのが始まりでした。平安時代以前には中国から日本へと伝えられましたが、鎌倉時代までの凧は、敵陣偵察などもっぱら軍事目的に使われるものだったのです。
室町、安土、桃山と続いた戦乱がおさまると、凧もようやく戦闘の道具から解放され、庶民の遊び道具として広く大衆化します。そして、あげ手の主役も大人から子供に移りました。
江戸時代になると、凧の種類が急激に増えていきます。浮世絵を通じて木版技術が発達したのもこの頃でした。多色刷りの錦絵がそのまま凧絵に転用されるようになり、美しい絵が描かれた江戸角凧は各地方へと伝わり、郷土色豊かな多くの凧が生まれました。
江戸後期には、正月の行事として各地で大凧上げが行われるようになり、それ以来「凧といえば正月」というイメージが浸透してきました。