新元号事前公表問題を考える有志の会 |
平成二十八年八月八日「象徴としてのお務めについて」との天皇陛下のおことばを拝し、政府は御譲位に向けた法整備を行ってきました。 しかしこれは、「譲位」という言葉を勝手に読み替え「退位」という、わが国の皇室の歴史にない文言を持ち出し、憲法や皇室典範の条文をなにひとつ変えることなく「特例法」として、一代限りを条件とするものを作り上げました。たしかに、御譲位による皇位継承は過去に二〇〇年ほどありません。 また明治以降は憲法、そして皇室典範において、この譲位の規定がないことも事実です。 しかし、大本を改めず、時の政府の判断でいかようにも出来る「特例法」とは、次代に対する負の先例になりかねない危険をはらむものであります。 「政教問題」に対する配慮との見方も出来ますが、これによって政府は、わが国の大本である皇室・皇位継承のあり方を、いとも簡単に変えることが出来るというシステムを作り上げてしまったのです。 さらに今般、政治日程から御譲位新帝御即位の日が決定されているとはいえ、新帝が御即位あそばされる前に次の御代の元号が公表されようとしています。 はたして、行政や経済への混乱を最小限にというだけの瑣末な理由で、歴史に例を見ないこのような暴挙を許してよいのでしょうか。 たしかに、現在の元号法において新元号を天皇陛下がお決めになることにはなっていません。しかしその規定には「皇位の継承があった場合に限り(元号を)政令で定める」とされています。 そして政令にはかならず天皇陛下の御名御璽を賜る元号が政令としてはじめて発せられなければなりません。 かりに、のちの政令を経ることになろうとも、政府の閣議決定のみで事前公表が行われるのだとすれば、それは皇位の継承とはなんら関わりのない「政府の元号」の公表ということになります。はたしてそれが、日本の伝統に照らし、また国民から愛され、親しまれる元号になり得るでしょうか。これは皇位継承と密接にある元号を蔑ろにする以外のなにものでもありません。 私たちはここに、政府による「新帝御即位前新元号公表」に反対し、歴史と伝統に基づく改元がなされることを求めます。 |