日本の国力で世界を相手に戦うなど相当無理な事であったろうし、日本が一方的に悪いのではない、という事実を、もちろん歴史の後智恵として、充分に知り尽くしている。結果から言えば日本は戦争をすべきではなかったと言う考え方もある。だが、本書を読んで、涙し、改めて考えさせられたことがある。 それは零戦の戦闘機としての優秀さとその搭乗員たちの生き様のすさまじさである。 ハワイ真珠湾攻撃に参画していた飯田房太大尉(当時)は開戦の前日、「この戦争は万にひとつの勝ち目もない」と語り、真珠湾攻撃の戦果を見届けると、帰還せず、単機、真珠湾に飛び戻り、自爆を果たした。 大尉の死に様を語り継ぐことは長い間、旧海軍内で封印されており、未だに、多くが語られていない。 米戦闘機の反撃に遇い火を噴いた爆撃機に搭乗していた七人の若者が、笑顔を見せながら、自爆するため海面目掛けて突っ込んでいった。旧海軍の航空隊では攻撃を受け、帰還が不可能となった航空機はまず、敵地に進路を向けなおし、自爆するように教えられていた。それを裏切った者などいなかった。 そして特攻隊。日本国の兵隊とは、操縦士とは「かくあるべき」と教えこまれたからといって、誰が自爆の道を好んで選択しようか。彼等は潔く、国や家族のために自爆の道を選んだ。 こんな日本人がわずか五十年前には存在したのである。彼等ひとりひとりの無念は歴史のかなたにある。彼等の遺骨は海中深くに置き去りにされたままである。 そして毎年、夏になると、戦犯が合祀されているとの理由で「靖国」は紛糾、首相の公式参拝は見送られる。空しい、としか形容できないが、これもまた現代の日本人の姿である。 この国はいったいどうなってしまったのだろうか。美しく、潔い日本人達がいたという事実を直視し、自らを振り返るべき時である。
発行:光人社
親日派のための弁明 金完燮/荒木和博+荒木信子訳
韓国新世代の評論家が抑圧的な旧体制を清算し、韓国を近代国家へと転換させた日本統治を高く評価。誤った歴史認識による反日共育を厳しく批判し、韓国で「青少年有害図書指定」(事実上の発禁)となり、作者は逮捕される事となった問題の書籍である。
ワールドカップの共同開催による偽善的な盛り上がりの中で、反日感情の強い隣国との間の「捏造された友好関係」に薄気味の悪い違和感を覚えた日本人も多かった事だろう。 韓国人女性の伝統的考え方を批判しベストセラーとなった「娼婦論」を韓国で発表した金完燮氏が、海外に滞在したおかげで世界の常識とかけ離れていた自国の歴史観に気づき、それまでの李氏朝鮮末期の歴史を公平な視点から検証し、抑圧的な旧体制の清算と朝鮮の近代化は日本の支援なくしてありえなかったとして日本統治を高く評価。従来日本で発表されてきた「日本の併合統治」が朝鮮半島の一般庶民の立場に与えた好ましい影響や、韓国内で跳梁する大韓帝国の支配者的視点から見た従来の歴史観への批判などについて公平な視点で書かれており、韓国政府がおこなってきた反日教育を支える歴史認識は誤っていると厳しく批判し、韓国で事実上の発禁処分となった「戦後」時代に終止符を打つ、革命的な書だ。
反日、反中教育が自国の政治イデオロギーとして重要な国策となっている韓国においてマスコミが伝えず、学校でも教えられない、日韓関係の真実の一面がここにある。 日本国政府の外交関係者は本書を読み、是非とも朝鮮外交の有り方を考えなおしてもらいたいものだ。
発行:草思社