日本の国力、経済を支える若者の教育が懸念されています。 経済協力開発機構(OECD)の世界教育水準ランキングで、日本は総合で、40ヵ国中7位ですが、読解力となると15位になってしまい、1位が中国です。 学力だけが国力ではないのですが、読解力は、文章をしっかり読める力なので、この能力が弱いと、契約書の締結で騙されかねません。 今、中国を相手に交渉したとして、中国側が複雑で、分かりにくい内容の契約書を作ってきたら、自分達に不利な内容だと読み取れない日本人が、増えるかもしれません。 読解力は、学力だけではなく、生きて行く上での基盤となる大切な力です。 2022年度から、全面実施となる高校の学習指導要領では、現代文を「文学国語」と「論理国語」の選択科目に分け、論理国語で契約書や企画書、報告書、手順書や取り扱い説明書、業務メールなど、実社会を想定した実務的な内容を教える事になっています。 選択科目に分けた事に対して、一部教育関係者は、「文学国語を削るのは問題で、文学は、生きる上でもっとも大切な他者の立場を考える想像力を高めるものだ。」として、「情報化社会で論理的な読解力や思考能力を高めるなら、プログラミング学習や数学でやればいい」と声を上げています。 PISA(学習到達度調査)をまとめるOECD(経済協力開発機構)が描く15歳像は、「教養ある思慮深い市民知的消費者」としている事から、従来の国語、数学、英語、社会、理科の5教科の知識が、これまで同様に重要なのは、言うまでもありませんが、ICT(情報通信技術)教育の充実が求められていて、学校教育内だけで完結するのではなく、生徒達が、これからグローバルな社会に出た時に出会う様々な課題に、立ち向かえる実用的な読解力を付ける必要があります。 中学生の2割は、教科書の文章の主語と目的語が、何かと云う基礎的読解力が出来ていなくて、約5割の生徒は、教科書の内容を読み取れていません。 読解力の定義は、「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、社会に参加する為にテキストを理解し、利用し、評価し、塾考し、これに取り組む事」とされています。 読解力を養うには、脳科学と幼児教育が大切です。 目で見た文字は、音声情報に書き換えられた後、脳の音韻貯蔵庫の記憶装置に記憶されます。 読書をして思考する為には、文字情報を必要なだけ記憶して、それらを材料にして思考を行います。 ところが、文字情報は、音声情報に変換しないと記憶できない事から、文字情報を音声情報に交換するのが上手な人と下手な人がいる事が、文章を音読させると直ぐ分かるそうです。 下手な人は、思考が旨く出来ないのは、変換作業に集中している為に施行する余裕がないからです。 この変換するのが下手な人の解決策は、「読み聞かせ」が有効で、多量の文字情報を事前に音声情報に変換して与えれば、下手な人でも必要な量だけ記憶し、それらを材料にして、思考する事が出来ます。 文字を読めない幼児に「読み聞かせ」は効果的で、文字を読める小学生にも効果的です。 乳児は、母親などが話し掛けて音声入力の訓練をして、少しずつ発達していく事から「会話」も読解力の基本である事が分かります。 「読み聞かせ」には、機械が音声を流すのはNGなのは、聞く側の反応を考慮する事が出来ないので、途中で止めて思考する間を与えてくれないからです。 読み聞かせをする場合、生徒の思考を無視して速く読むと生徒が理解できていない事がよくあるそうで、途中で質問や関連する話などを交えながら生徒の反応を観察して、丁寧に読み聞かせをして初めて理解し、思考してくれます。 「読解力」は、全ての勉強、又、将来の社会活動に於いても基本中の基本となるもので、読解力がなければ、どの分野であっても問題の意味も理解できないし、社会に出てから一つ一つの仕事の意味、或は人が言わんとしている事を理解できないと云う事にも繋がる最も重要な能力です。 この能力を高める為にもコロナ禍で、リモート学習も仕方が無いのですが、生徒の反応を読み取れる対面学習が、一番効果が見込める事から、読み聞かせ学習に重きを置くことが望まれます。 明治時代の教育関係の本で、福沢諭吉の「学問ノススメ」が、明治5年(1872年)に発行されていて、当時の国民の10人に1人は読んでいた部数計算になるベストセラーがありました。 内容は、先進国と対等な付き合いをして行く為には、何が必要なのかが書かれていて、この本をきっかけに日本は、欧米の知識を吸収する事に努め、文明開化に成功したとも言われています。 「学問ノススメ」の中で、もっとも有名な「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」は、身分社会が長く続いてきた当時の日本としては、「人間は生まれつき平等である」との考え方は斬新で、日本の植民地、併合政策に影響を与えています。 人が平等であるならば、差はどこでついてくるのかを福沢諭吉は、勉強したか、しなかったの差と「賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由(よ)って出来る(いでくる)ものなり」と説いていて、特に実際に役に立つ「実学」を学ぶべきと言っています。 今も昔も国民は、政治が悪いと非難しますが、愚かな政治は、愚かな自分が招いた災いであると「この人民ありて、この政府あり」と説いていて、そんな程度の国民なのだから、政府もその程度なのだと戒めてもいます。 ワイドショーや左翼野党に煽られ「もりかけい桜」の不毛な長期に亘(わた)る国会追及を指示した国民がいた事が、この事に当て嵌まります。 「たら、れば」に踊らせられずに、自己の正義を振り回す行為を戒めて下さい。 私がみなさんに一番伝えたい「学問ノススメ」の一説は、「独立の気力亡き者は、必ず人に依頼す、人に依頼する者は、必ず人を恐る、人を恐るる者は、必ず人に諛(へつら)うものなり」と、他人の力に頼る人は、結局人に諛うようになり、諛う事に慣れてしまい、恥を恥とも感じず、言うべき事を言わなくなる事が一番恐ろしい事です。 安倍政権前の政治、外交がまさにこの状態で、中国や韓国に阿(おもね)る政治家ばかりでした。 日本国の尊厳を守る気概を持たず、国益よりも自己の利権を図る国賊と呼ぶに相応しい政治家の多さは、実に嘆かわしい事です。 この様な政治家を生み出す教育システムの改革が待たれます。 歴史に「たら、れば」で、過去を非難しても仕方無いのですが、中国の天安門、民主化運動事件の時、国際社会と歩調を合わせていれば、今日の中国の覇権拡大に繋がらず、日本の安全保障を脅かす事にもならなかったのではないでしょうか。 又、近代国家とは、程遠い当時の証明写真が多数存在する朝鮮を併合して、教育を施し、近代国家に造り変えた功績を教科書では、植民地にして苦痛を与えたと虚構の歴史を教える愚かさが、教育を疎かにする政治家を生む原因です。 日本は、欧米とは違って、情報や科学に弱いと云うより、物事を合理的に考える事が常識になっていません。 ワクチン開発でよく使われる「エビデンス(証拠、根拠、形跡)」又、科学的、工学的な裏付が思考の基礎知識でなければ、憶測、感情の思考になってしまいます。 例えば、ごみのポイ捨てについての考え方は、欧米では、ポイ捨てによって、清掃員を雇う雇用費が発生し、税金が上がると云う所まで考えます。 何をしたら、どんな結果になって自分に返って来るかを、子供の時から教え込み、合理的な行動か否かを短期的な視点だけではなく、長期的に考えさせるのが当たり前になっています。 今日本では、長引くコロナ禍の生活の中、図らずも普及してしまった新しい価値観やライフスタイルが、社会に与える影響など先の見えない状況に国は、どう向き合うのでしょうか。 年間3000人以上が亡くなるインフルエンザが流行する季節で、今年は、新コロの感染拡大が止まりません。 日本感染症学会のシンポジウムで、年齢が高い程、周囲の人にうつす傾向があると指摘されていて、子供同士の間では、感染が比較的起きにくいとされています。 重症化リスクが高いのも、媒介者になるリスクが高いのも高齢者という事が、報道されないのはなぜでしょうか。 巷では、同調圧力と村社会性が露わになっていて、「ガースが・・・」と感情で管さんを批難しますが、対案を持たない批判は、アンフェアです。 地方経済は、深刻な状態で観光収入に50%以上を頼っています。 厚労省の調査では、10月30日現在で、解雇、雇い止めが7万242人にも上っていて、非正規雇用者が、約3万4千人に上っています。 製造業、飲食業も深刻です。 雇用不安の長期化が見込まれる中、雇用保険にコロナ特例が加わった仕組みを知っておけば、万が一の時の生活防衛に役立ちそうです。 只、法律で加入が義務付けられている雇用保険に加入していない事業主が存在している事が問題で、過去5年に遡った納付義務と罰則を設けた法改正を急ぎ、善良な納税者を守る政策を進めて下さい。 又、低所得の弱者救済には、マイナンバー制度を法律で強制し、国税と金融機関を紐付する事で、速やかな給付が可能になります。 現金のバラ撒きと批判はあるでしょうが、コロナ禍で身体、精神が疲弊し、生活苦の絶望から命を救う政策になるのではないでしょうか。 個人を批判して、留飲を下げても現状は変わりません。 GO TOの政策は、7月からなので、その時期に感染拡大が起きていない事は、12月の感染拡大は、別の要因と考えるのが当然なのですが、医療崩壊を防ぐ為にもGO TOの一時停止と移動制限は、この時期に必要な措置です。 私たちに出来るマスクの着用で、大切な人を守りましょう。 |