内閣府設置法第18条で、2001年に内閣府に設置された合議制機関の経済財政諮問会議ですが、総理大臣の諮問を受けて、財務省や経団連が、中心となって経済財政政策に関する重要事項について、調査審議してきた政策は、国民を豊かにしたのでしょうか。 設置から22年も経ち、諮問会議の提言が国民生活に寄与せず、国益に適せず、会議の方針に基づき打ち出された政策は、国民の雇用の安定を破壊し、地方を疲弊させるなど「格差の拡大」を招き、明らかに企業を優遇する政策偏向を続けてきました。 政府は、消費税は原材料、メーカー、卸売り、小売りと次々に転嫁し、最終的に消費者が負担する間接税と説明していますが、本当なのでしょうか。 消費税法には、価格転嫁を保証する規定も消費者が、事業者に預ける規定も、事業者が預かる義務もなく、規定されているのは、事業者が納める税金の事だけです。 1990年(平成2年3月)の東京地裁判決では、消費者は、消費税も負担しているのではなく、物価として負担している事が、確定しています。 消費税が施行されたのは、平成元年(1989年)で、財務省と経団連から「日本経済を強化し、貿易戦争に勝ち残る為に輸出企業に消費税還付金が必要」と消費税導入を迫られ、消費税導入から34年が経ち、3%が10%の税率に上がってしまいました。 輸出企業が、仕入先や下請けに支払った消費税が、税務署に収められると錯覚している国民が、多いと思いますが、輸出企業が払う消費税は、国内販売分だけではなく、輸出割合分を引いたもので、実質0円になります。 仕入先が、払う消費税とは別物です。 大企業だけでなく、輸出をしている中小企業も消費税還付金を受け取る仕組みは、正常とは言えません。 これは、輸出補助金です。 輸出しない企業から消費税率で受け取る事は、経団連の詐取と言うのではないでしょうか。 輸出還付金制度は、1948年フランスで採用された仕組みです。 自国の間接税を外国の消費者に負担させない事は、国際的なルール(仕向地主義)と認めても、間接税である米国の小売売上税や日本の旧物品税は、免税処置を受けるものの還付金は、発生しません。 消費税だけが還付金が貰えるのは、輸出売り上げを只の免税ではなく、輸出売り上げゼロ税率で課税していて、消費税の「仕入税額控除方式」を使って還付金が、貰えるようにしています。 しかも、税務署から払い戻される還付金は、1.6%の「利息」に相当する還付加算金が、上乗せされています。 財務省は、輸出免税制度は、経済協力開発機構(OECD)のガイドラインに規定されているとした上で「国際ルールに従っており、制度に問題はない」としていますが、EUでは、2013年の不正還付1,700億ユーロ(23兆円)もあり、EU委員会は、2017年4月に輸出還付金制度の見直しを提案していて、輸出還付金制度は、不公平な税制として廃止の方向です。 日本では、2021年から2022年の輸出企業による不正還付は、791件111億円が在りました。 輸出大企業20社に、2021年度で1.7兆円余りの消費税が、還付されていて、財務省が発表した2021年度の企業内部留保金は、516兆4,750億円も在るそうです。 輸出大企業を保護する目的の消費税は、必要ないと私は愚考しますが、皆さんは、どうお考えになりますか。 政府は、2023年10月から消費税のインボイス制度を実施し、小規模業者にまで事業者登録番号を付け、消費税の課税事業を巻き込み、輸出還付金制度をもっともらしく見せようとしている事と、ヨーロッパ並みの高い税率にする為には、インボイス制度の実施は、欠かせないのと輸出還付金の不正を防ぐ目的もあるようです。 財務省と一体となり、経団連が主張する消費増税の背景には、平成元年当時のドイツが、消費税率15%でベンツ社は、15%相当額の還付金が、貰えていた事が根底にありそうです。 消費税擁護論者は、仕入で支払った消費税なのだから、輸出企業が還付を受けるのは、当然と言いますが、これは、仕入先が納める税です。 輸出業者は、消費税分を引いた金額で輸出すれば、還付金は、発生しないのではないでしょうか。 法律でそれが駄目なら加憲して下さい。 財政難の米国は、未だに消費税を採用していない事を皆さんは、ご存知でしたか。 米国が、採用しているのは、通称州税といわれる小売売上税です。 法人税の所得税に代表される直接税に比べて、消費税、付加価値税などの間接税が、優れているとは見なせないと採用は、見送りになっています。 因みに、米国の国税における直間比率は、9対1です。 一般的には、6対4が普通だそうです。 消費税では、輸出に還付金が渡され、輸入に課税される点に法人税引き下げとセットされ、易い点などが議論の焦点となってきた事が、米公文書に多く残っているそうです。 法人税が何故有効で、消費税と代替すべきでないと考えるのでしょうか。 1960年代の米財務省の報告書によると消費税は、売り上げに掛かる為に、赤字企業でも支払いの義務が生じるが、赤字企業が、法人税を払わなくても済む事は、その企業にとっても経済全体にとっても有効で、効率的で革新的な新規ビジネスであっても、収益構造が確立するまでは、ある程度の時間が掛かるとして、新しい挑戦の芽を潰す事になる消費税を見送り、法人税に依存する理由にしています。 主要国の中でも、ベンチャービジネスが米国で隆盛するのは、1つには、こうした税制面からの観点が、確立されているからと言われています。 OECD(経済協力開発機構)統計のベンチャーキャピタル投資額の順位は、米国(267億ドル)と断トツ1位で、2位日本(16億ドル)、3位カナダ(15億ドル)となっています。 日本のベンチャー企業の育成には、消費税は、障害の様で合わせて法人税の配慮も必要になります。 税の基本概念は、「富める者から貧しい者への分配」のはずなのに、消費税の本質は、輸出大企業の税負担を減らして、中小企業や労働者の税負担を上げる悪税です。 不公平な税をただす会の提言では、消費税を廃止にしても税収は、法人税5%、15%、25%、35%、45%の5段階の累進税率で、24兆円、申告所得税の税率を1976年当時の税率を参考に5%~57%に偏向で13兆円、金融所得課税に適用されている15%の分離課税を30%に引き上げで11兆円、相続税の最高税率を75%に引き下げ、一律10%の個人住民税を7%から高所得者には、18%の累進税率で2兆円が試算され、総額約52兆円弱の増収額が出るそうです。 コロナ禍やウクライナ問題で世界的な物価高といわれていますが、日本だけが、実質賃金が上がらず、2015年には、韓国にも抜かれています。 バブル崩壊から現在まで「失われた30年」といわれていますが、今の日本は、「失われてきた賃金の34年」です。 国民の所得が増えなければ、景気の回復などなく、日本だけが、どんどん貧しい国になっていきます。 今、富裕層と貧困層の「二極化」が、広がっていてごく一握りの超富裕層を除けば、ひと昔前の東南アジア諸国のように大多数の国民が、貧困層に転落する「一億総下流社会」が、現実味を帯びてきています。 富裕層の税負担を減らし、中間層以下の負担を重くする税制の消費税を廃止し、選挙には、お金が掛かっても経団連と政治の癒着を断ち切り、日本国再生を真剣に考える時代が来ています。 消費税導入以前は、日本製品のクォリティの高さは、神話になる程、世界に誇れる日本企業が多かったのですが、消費税とグローバル社会の欺瞞に踊らされた結果が、今日の日本です。 経済成長は、続けていますが、国民は豊かになっていません。 政府は、物価高騰対策に減税が筋なのに、補助金で対応を試みている様ですが、補助金も様々な問題を抱かえています。 最近よく耳にするトリガー条項発動すべしの問題は、2010年にガソリン税の高騰を抑える仕組として、トリガー条項が設けられました。 ガソリン税は、1974年から適用されていて、「1ℓ 53.8円」が約50年間続く「特例税率」です。 このガソリンに「激変緩和処置」として、2022年に1ℓ 35円に引き下げ2024年まで延長するそうで、既に6兆円の税金が、投入されています。 補助金が、消費者に支給されず、石油元売り会社や電力会社に直接給付されている政策は、正しいのでしょうか。 ガソリン税の税収は、財務省発表の2023年予算では、2兆2,129億円で「トリガー条項」を発動した場合地方自治体の税収が、一年間で5000億円減少すると、2022年当時の総務大臣が、試算結果を明らかにしています。 しかし、特例税率を50年間も続ける事は、流通業界を圧迫する事で、コストがかさみます。 ガソリンは、36,8%が税金(消費税込み)です。 補助金制度は、一時的、時限的なもので、特定の事業者を優遇する側面もある事から物価上昇が続く中、ガソリン税の制度を今後どうするのか、重大な政策問題になっています。 |
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