イスラム国から見える国内外情勢

読者からの投稿
   新年早々、衝撃の事件が各メディアを騒がせた。
一月二十日『ISIS(通称イスラム国)』が日本人二名を拘束して身代金を要求、殺害を予告する動画を配信したのである。
元自衛官で有る私は、この手の情報に非常に敏感で、直に防衛省関係者と連絡を取ってみた。「○○の駐在部官は既に現地へ行っている」やはり思った通りである。
通常、外国での法人人質事件は、国家機密の扱いで有り、メディアが取り上げる時点では、状況は解決方向に進んでいるが、開示出来ないものである。
何故ならば、メディアに情報を開示すると云うことは、世界中に日本政府の手の内をさらけ出すと同じ、言わば『ご法度』なのである。
案の定、政府が法人拉致を認識したのは十二月の時点であった。【政府対応は正しかったのか?】

よく巻き起こる議論で、この『黎明』を購読されている方々も興味がお有りではないでしょうか?かつて自衛隊をして、初の『特殊部隊』を創設した方にお話を伺った。
もったいぶって申し訳ないが、書けない事が多すぎる多すぎる為、判り易い事例で書かせて頂く。
1985年にレバノン(シリアの隣)で(当時)ソ連外交官四名がヒズボラ(イスラム教)に拘束され一名が殺害される事件が起きた。
この時、ソ連の対応は犯行グループの親族をKGB(ソ連秘密機関)が拉致、身体の一部を切断して犯行グループに送りつけた。
身の危険を感じた犯行グループは残りの三名を解放したが、KGBは拉致した一名を殺害した。
こうして今日現在迄、ロシアに対するテロリストによる人質事件は一例も起きていない。これが、国際社会における常識で有り、今回の日本政府の対応が、『ベスト』で有ったかは疑問である。

【ISIS =イスラム国?】

先日、私は仕事でバングラディッシュに行っておりました。
一億八千万人の人口の内、九割がイスラム教徒であり、皆信仰心が強い。
私の受けた印象は、非常に他の宗教に対し寛容で、他人に対し思いやりが有り、性に対して非常に厳格である。
『イスラム原理主義』で有れば、『人質』を取る卑怯な行為や、『殺害』する事等もってのほか、どう見ても彼らが『イスラム国』を名乗るのは自然ではない。
実際にシリア等では、「彼ら(ISIS)はイスラムでは無い」と言う声が圧倒的に多い。
しかしながら、現地には『シーア派とスンニ派』が内紛を繰り返している中でクルド人迄もが混戦する地域、非常に複雑で一概には言えないのも確か。
ただ、日本人のツイッター等を見ると「イスラム人が日本にも居る、ヤバイ」等と呟いている書き込みを見ると、『イスラム教=悪』とイメージしてしまっている人達を目の当たりにして、『ISIS=イスラム国』が本当に正しい約し方なのか?
私には意図的な情報操作に思えてならない。

鈴木 一

 

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