焼肉や店主の主張 其の四十三

連日TVで報道されているプーチン戦争ですが、ウクライナは、1991年にソ連邦が崩壊した事から独立国になりました。
この時、ウクライナ領内には、約1900発の核弾頭が取り残されていて、ウクライナは、独立国として、この核弾頭保持を表明するのですが、ロシアをはじめ米国、英国が核拡散防止の観点から強く反対し、核不拡散条約への加盟と核兵器の撤去が求められました。
その条件として、「領土保全、政治的独立」に対する安全保障を三ヵ国(ロ、米、英)が提供する事で合意した「ブタペスト覚書」が、1994年に締結されていました。
しかし、20年後の2014年3月にウクライナ領土のクリミヤ半島は、ロシアに併合されてしまいます。
国連が、ウクライナの領土を保障したにも拘らず、「ブタペスト覚書」は、反故にされ、国連は、ウクライナ領土保全を守れなかったのです。
皆さんどうお考えになりますか。
この時、中国共産党機関紙である人民日報では、「西側世界は、国際条約や人権、人道といった美しい言葉を口にしているが、ロシアと戦争するリスクを冒すつもりはない」「約束に意味はなく、クリミア半島とウクライナの運命を決めたのは、ロシアの軍艦、戦闘機、ミサイルだった。
これが国際社会の冷厳な現状だ。」と解説しています。
歴史に「もし」は、禁句ですが、1900発の核弾頭のうち10発でもウクライナが引き続き保有していれば、クリミア半島の併合や現在のウクライナ侵略もなかったのではと考えさせられます。
北朝鮮は、民が飢えても核を手放さないのは、核にはそれだけの「力」がある事を十分に理解しているからで、「ブタベスト覚書」は「力なき外交」が如何に無力であり、国際社会の冷厳な現実を証明しています。
軍事力による威嚇、恫喝で相手に自分の意図を無理やりのませる、相手が拒否すれば軍事力で決着をつける「力による現状変更」を狙う「力の信奉者」ロシア同様の中国も2016年の南シナ海の領有権問題に関する国際仲裁裁判の裁定を「ただの紙くず」と切って捨て南シナ海の九段線内の領有権を主張し続けています。
今回のウクライナ有事を中国の習さんは、台湾侵攻計画を想定し、米国の動向を慎重に見極めているのではないでしょうか。
プーチン戦争を引き起こしたプーチン戦争犯罪(戦犯)者の主張は、第一にNATO(加盟国30カ国)が、これ以上拡散しないという法的拘束力のある確約を求めていて、1991年12月のソ連崩壊を「歴史的なロシアの崩壊」だと位置づけ、ウクライナは、共産主義時代のロシアが作り上げたもので、今や西側に操られている傀儡国家だと非難し、ウクライナが、NATOに加盟すればクリミア半島を奪還しようとする可能性を指摘しています。
更にロシア国境近くに攻撃兵器を配備しない事や1997年以降にNATO加盟国になった中欧、東欧バルト三国を1997年以前の状態に戻す事を求めています。
プーチン戦犯が、口にする西側は、1990年の時点でNATOが「一寸たりとも東に拡大しない」と約束したのに反故にされたとの主張は、当時のゴルバチョフソ連大統領と西側の約束は、ドイツ再統一の文脈における東独についてのもので、ソ連が、崩壊する前の事です。
ゴルバチョフ氏は、後に「NATO拡大の話題は、当時一度もなかった」と述べています。
プーチン戦争の背景には、2015年にベラルーシの首都ミンスクで2度目になる包括的措置のミンクス2が、署名された事から始まります。
クリミヤ併合時にロシア軍に大敗したウクライナは、不利な条件での合意に不満が強く、2019年に選出されたゼレンスキー大統領は、ミンクス合意がある限り、ドンバス地域で選挙を実施し、高度な自治権を認めざるえず、分離独立派に法的根拠が生じてしまう事を避ける為、2021年にかけてミンクス合意を反故にしようとしてきました。
その例として、2021年4月にトルコから購入したドローンによる分離独立派を攻撃するなどしていて、今回の侵攻で「ミンクス合意をプーチン大統領が破棄」と一言で報道されがちですが、ウクライナのゼレンスキー大統領が、ミンクス合意を履行する気がなかった事が、原因の一因で西側諸国も合意を守れと言い続けてきました。
ロシアの武力行使は、言語道断ですが、ウクライナ国民の安全を考えないゼレンスキー大統領には、問題はなかったのでしょうか。
ロシア軍が、チェルノブイリ原発施設を素早く制圧したのは、ゼレンスキー大統領が、核兵器開発の復活をほのめかしていて、核ミサイルを作る可能性やテロの恐れもあったことは、否定出来ません。
ゼレンスキー大統領は、自分も家族も殺されると言っていますが、停戦交渉に応じれば可能性は低く、国民感情もあり米国との関係に、英国のジョンソン首相もゼレンスキー大統領の受け入れを表明している事から、亡命も選択肢の一つです。
国民の命を守る為に他の指導者に委ねる事も一考で、西側武力を当てにした他力本願は、稚拙すぎます。
ウクライナ全土を占領する気はないようで、クリミヤ併合時に莫大な財政負担に苦しんだ経験からルガンスク地方とドネツク地方のロシアが承認した両共和領有には、コストが掛り過ぎる事から併合は考えにくいと思われます。
そもそもゼレンスキー政権は、両共和国の財政負担を放棄していて、すでにロシアが公務員給与、年金、インフラも含めて、財政負担を負っている事からこれ以上の支出は避けたい事です。
ロシアの最大目的は、バルト海に面したカリーニグラド、日本海に臨むウラジオストックなどの不凍港であるクリミヤ半島の先端セバストポリから黒海に、更に地中海を経て大西洋に抜ける海洋ルートの確保で、黒海艦隊の行動を制約受けない様にする事です。
その為には、ウクライナ領内にあるクリミヤ半島西の付根に位置する港湾都市のオチャコフと東側のアゾフ海の北岸に位置する港湾都市ベルジャンスクを支配地域にする事です。
又、西側諸国にも影響が懸念されるウクライナ領内の15基の原子炉施設占拠などロシアの軍事計画が達成されるまで、軍事行動は、止まらないと予想されます。
プーチン戦争に関わりたくない西側主要国は、民主人権を掲げている手前、非難と力のない外交という対話で、戦争の停戦を求めています。
米国は、中国を念頭にインド太平洋地域を重視する姿勢を打ち出していて、欧州における米国のプレゼンスは縮小しています。
更に米国は、軍事技術で最新の極超音速滑空体(HGV)の開発に後れを取っていて、ロシアは、ミサイル防衛網を突破し得る超射程戦略兵器「アバンガルド」を2019年に実戦配備し「同盟の決意2022」でもその他の各種HGVの実戦能力を見せ付けています。
ロシアへの経済制裁は、西側諸国にとっても諸刃の刃で制裁効果を強めようとすれば、コロナ禍から立を直りきれていない西側諸国の経済、エネルギーへの悪影響が予想されますが、我国日本も西側諸国と歩調を合わせ、出来る事を粛々と行ってください。
左派の市民団体や左派野党の皆さんは、日頃主張している事を実践して下さい。
彼方方の出番が来ています。
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