焼肉屋店主の主張 其之五

新しい年を迎え、束の間の休息も終わり今年も慌ただしい歩みが始まりました。
沖縄県では、辺野古新基地建設の為の埋め立て工事の土砂投入が、昨年12月に始まりましたが、知事をはじめ、無責任な複数のメディアが一斉に批判を始めました。
玉城知事は、「新基地建設に反対の民意が示される中で、断じて許されない」と反発するのですが、昨年の沖縄県宜野湾市の市長選挙が知事選挙と同時に行われた結果は、普天間の危険性の除去と返還を求める松川氏が当選し、市議会選挙でも市政与党が、議席を増やしています。
又、辺野古新基地予定地の在る名護市長選挙でも移設を容認する渡具知氏が当選し、市議会選挙でも容認派が反対派と同数になっています。
沖縄知事選では、確かに移設反対を訴えた玉城氏が、圧勝しましたが、移設容認の候補者もそれなりの得票を得ていて、基地のある市や移設先の市の民意は、移設を求めている選挙結果が出ています。
この様な結果が出ているにも拘わらず、メディアは、国民に広く報道せず、玉城知事の主張に同調する無責任なコメンテーター達が代替案も提示せず、唯政府を批判する印象操作を展開する報道姿勢が問題です。
沖縄県では、辺野古移設に反対する知事が続くことで、普天間飛行場が固定化される事が民意になると本気で思っているのでしょうか?
玉城知事は、2012年の日米合意で決めた基地移設の発展と海兵隊のグアム移転を切り離すことを自己解釈して、「海兵隊の移転が進めば、普天間は閉鎖返還できる」と自論を展開していますが、日米合意では、グアム移転後も沖縄には、海兵隊が一万人余りが残る事になっていて、普天間の返還は、あくまでも県内移設が実現してからの事です。
沖縄県民は、この事実を何処まで知らされていて、現実を理解しているのでしょう。
辺野古移設は最善ではないかもしれませんが、住民を巻き込んだ重大事故のリスクを回避する唯一の方法と言えるのではないでしょうか。
 昨年より、北朝鮮が対話姿勢に転じて、韓国のムンさんや中国の習さんとの蜜月ぶりを演出披露して、朝鮮半島の緊張緩和が進んでいるのかの様に見られますが、平和協定が結ばれる為には、北朝鮮のミサイル破棄や非核化が必要で、北朝鮮の核ミサイルの脅威は、解消されていません。
在沖縄米軍の任務は、半島有事への即応や在韓米国人の保護、救出だけに備えているのではなく、日本防衛支援や台湾、南シナ海有事への即応支援など広範なものです。
近年の米中関係の報道からも、米国は中国との戦略的競争を追求していて、中国の軍事的挑戦に備える為、在日米軍の増強も十分ありうる事です。
朝鮮半島情勢が今後どの様になろうと、東アジアの最大の不安定要素は、中国の軍拡であり、国際秩序の変更を目指した中国の戦略は、着々と進められています。
中国の軍事費は、公表額だけでも過去十年で2.7倍に膨らんでいて、ミサイルや潜水艦、サイバー、宇宙能力を強化して、中国の活発な軍事活動は、東シナ海に止まらずに西太平洋や日本海にも広がりを見せています。
一昨年、中国爆撃機が紀伊半島沖まで飛び、在日米軍司令部のある横田基地を攻撃する訓練らしき動きを披露しています。
米誌ウォール・ストリート・ジャーナルによると、中国のハッカー集団が米海軍の兵器や装備品などを扱う請負業者らを対象にサイバー攻撃を仕掛け、艦船に搭載する兵器などのデーターを盗んでいたと伝えていて、請負業者は、昨年一年間でサイバー攻撃を多数受けていて、潜水艦に配備する超音速対艦ミサイルの開発計画など最先端兵器技術に関する機密性の高い情報が盗まれたとみられるという記事を掲載しています。
ハッカー集団は、中国海南省から攻撃を仕掛けた可能性があるとも記述しています。
中国による南シナ海の軍事化は、完成に近づき昨年10月には、米軍イージス艦に中国駆逐艦が異常接近して、一触即発の事案を起こしています。
この様に、他国軍の航行や飛行を中国の領海、領空だと妨害することが増えています。
又、更に中国は台湾の民進党政権に対する圧力を強め、台湾を周回する軍事行動を頻繁に行い台湾海峡の緊張を高めています。
この様な圧力からか、昨年の台湾総選挙の結果は、国民党の圧勝となり、今後の台湾の動向が注目されます。
中国は、2035年迄に軍事力の近代化を完成させて、今世紀中場迄に世界一流の軍事力を保有する事を宣言しました。
米国は、中国を国際秩序を守る責任ある大国に変える為の関与政策に見切りを付け、近年の中国の動向から警戒を強め、米中冷戦に転換したように見受けられます。
中国に対する抑止の強化は、防衛第一列島線上に位置する沖縄の軍事的価値は、増々高まるのですが、海兵隊のグアム移転計画の背景には、中国軍の精密誘導兵器の脅威に前線の固定基地の脆弱性が指摘されています。
東アジアにおいて米軍は、各部隊に強力な打撃力を持たせて、戦力の分散を進めていて、単独でもすべての領域で作戦行動えを取れる海兵隊の必要性は高まる事はあっても下がる事はありません。沖縄の海兵隊は、常に地域をパトロールする即応部隊ですが、訓練や補給メンテナンスの為に沖縄の基地を米軍は、必要としているのです。
辺野古基地移設は、国内政治の観点からだけでなく、米国の国際秩序を守る戦略観点からも議論されなければならない問題なのです。
昨年12月に日本の防衛大綱が発表されましたが、策定の趣旨の中で、現状を的確に捉えた文言が記述されています。
その一節を紹介します。
「現在、わが国を取り巻く安全保障環境は、極めて速いスピードで変化している。
国際社会のパワーバランスの変化は、加速化、複雑化し、即在の秩序をめぐる確実性は、増大している。
又、宇宙、サイバー、電磁波といった新たな領域の利用の急速な拡大は、陸・海・空という従来の物理的領域における対応を重視してきたこれまでの国家の安全保障の在り方を根本から変えようとしている。」と記述されています。
この事をふまえて、話を進めます。
資源に乏しく、多くを輸入に依存する日本は、その輸入の多くを海上通路(シーレーン)が支えています。
海上交通が国際秩序に則り安全に使用出来ることは重要で、ここが脅かされる事は、日本の生命線を左右する死活問題になります。
日米安全保障の基本は自力であり、同盟はどんなに強くても運命共同体ではなく、相互が重要と感じる為の信頼が必要で、同盟関係の中で日本がより主体的に関与していく事が、求められています。
これまでの日本の役割は、自国とその周辺の防衛監視であり、生命線であるシーレーンの整備は、米国との安全に依存して来ました。
いわゆる「1000海里防衛構想」で、場所で言えば、台湾の南、バシー海峡までが、日本が睨みを利かせて守る範囲であって、それより先は米国の圧倒的なシーパワーに頼り、外交や国際協力などを通して安定を確保すると言う事が基本でした。
国際情勢の変化は、小規模紛争、テロなどの新しい形の脅威に、軍備もそれに対応したものが求められているのが現状です。
国際情勢は、ロシアが強国に返り咲こうとクリミア併合、シリア内戦への積極的軍事関与など攻撃策に出ていることも無視できない状況に、何より大きいのは、中国の台頭で、従来、ランドパワー型国家だった中国が、米軍に匹敵するような強大なシーパワーを備えて、シーレーンを脅かすようになってきた事は、世界の安全保障を揺るがす転換です。
「石油の一滴は血の一滴」という言葉もありますが、海上交通は言わば血液の流れであり、シーレーンは血管です。
何処か一箇所でも血管が詰まったり、穴が開いてしまえば血が流れないように、シーレーンも全体の安全が確保されなくては、意味がないのです。
今、中国の巨大化するシーパワーに対し、如何にして、シーレーンの安全を確保するかが、今後の自衛隊の任務で、日本の安全保障の在り方を大きく左右する「開かれた海」を共同利用する、米国、イギリス、オーストラリア、インドとの同盟が生まれ日本もその一員として行動していく事になります。
ランチェスター交戦理論の集中の原則では、多くの戦訓や教範が、この同盟の重要性を語っています。
至る処、守らんとすれば、至る処弱し、全てを守ろうとすれば、結局どこも中途半端になってしまうと語っています。
中国の海洋進出が進む日本の安全保障情勢に於いて、軍事増強を進める中国は、将来的に日本への本土侵攻の可能性があるかと問われれば、尖閣諸島を除けば、可能性は非常に低いと思われます。
何故ならば、わざわざ攻めなくてもシーレーンの安全を脅かすことで、日本に対して致命的なダメージを与えられるからで、シーレーンに於て、軍事優位を得る事は、中国が世界に経済圏を広げる事で「日本に対する軍事的圧力と中国自身の経済成長」という2つの目的を果たせる事から、費用対効果の高い海洋に戦力を割くのは、中国としては、当然の戦略なのです。
では、この中国の戦略に対して、日本はどの様な戦略で挑むのでしょうか。
大型タンカーは、ペルシャ湾から日本まで12000㎞の海路を20日間掛けて航行すると云います。
「開かれた海」が自国の利益の為に不可欠なのは、日本だけではない事は、皆さんも御承知の事と思いますが、その広大な海を単独で整備するだけの戦力は、どの国も持ち合わせていません。
その為に互いに一致する利益を守ろうとする同盟関係を構築する形が必然的に生まれます。
シーレーンという血液が、何処か一点でも詰まるだけで経済活動は、たちまち混乱してしまうのです。
故に海の同盟関係に応える為に日本は、防衛大綱を見直し、電子戦機、EA-18Gグラウナーの導入検討や「いずも」護衛艦を改修して、F35Bを艦載できる空母の様な護衛艦の保有を発表しました。
左翼思想の政党並びに政治団体は、防衛力整備の指針を戦争する為の装備計画と非難しますが、「防衛計画の大綱」の策定趣旨では、この様に記述しています。
「わが国政府の最も重大な責務は、わが国の平和と安全を維持し、その存位を全うするとともに、国民の生命、身体、財産、そして、領土・領海・領空を守り抜くことである。
これは、わが国が独立国家として第一義的に果たすべき責任であり、わが国が自らの主体的、自主的な努力によってかかる責任を果たしていくことが、わが国の安全保障の根幹である。
わが国の防衛力は、これを最終的に担保するものであり、平和国家であるわが国の揺るぎない意思と能力を明確に示すものである。
そして、わが国の平和と安全が維持されることは、わが国の繁栄の不可欠の前提である。」とあります。
全文は、長いので割愛します。
この大綱に対して、中国と韓国が何時もの様に批判ずるのですが、日本の左翼政党やマスコミと同様騒ぎ立てると歴代内閣の様に委縮して、訂正や修正すると未だに思考している事が驚きです。
「いずも」や「かが」を改修して、護衛空母を造るのは尖閣の防衛が最大の目的です。
現在、沖縄の那覇基地からF-15戦闘機が、尖閣諸島の防空にあたっています。
皆さんは、それなら防衛は十分なのではと思われるでしょうが、F-15が尖閣諸島上空に到着するのに30分かかり、往復に一時間かかります。
燃料搭載量から防空任務時間は一時間強しかないので、実際の戦闘時間は、5~10分程度と推察されます。
この様な事から、尖閣近海に護衛空母の展開が望まれているのです。
軍事オタクではないのですが、長崎県佐世保には米海兵隊を上空から支援する為の米国で一艦だけ改修されたF-35Bを搭載する「ワスプ級強襲揚陸艦」が配備されていて、「いずも」とよく似ています。
政府は「攻撃型空母」にはあたらないと「いずも」や「かが」の護衛艦を専守防衛の範囲内と強調するのですが、確かに適地攻撃の打撃艦の原子力空母は、艦内の原子炉が生み出す高圧蒸気を使った航空機射出装置(カタパルト)を装備していて、攻撃に必要不可欠な空飛ぶレーダー基地といわれる早期警戒機E-2Dや電子戦機EA-18G、空中空輸機を発艦できる広い甲板(アンガルドデッキ)を有しています。
これに対し、全長248mの「いずも」は、短距離陸と垂直着陸(STOVL)が可能なF-35BライトニングⅡを搭載するのですが、F-35Bは、ステルス性を生かす為、増加燃料タンクの装備を控えます。
短距離で離陸する為、下方へ空気を噴出する大型ファンを備えるなど、燃料搭載量は一般の戦闘機に比べ少なく航続距離は、F-18Eの半分(1670㎞)でF-15の約4800㎞の三分の一の航続距離しかありません。
この為、適地攻撃力は持っていても、運用面からは、対艦、対空能力を重視する事から防衛空母と云うのも強ち的外れではないのかもしれません。
世界には、空母を正規空母と呼称する概念はなく、日本だけが空母を分類して、呼称していた事から防衛空母の呼称の概念はなくとも、専守防衛の日本が呼び使うのは、何も問題がないのではないのでしょうか?
混沌とする世界状勢の中、海洋国家の日本が広大な海からの侵略やシーレーンを守る上で、空母の保有は必要不可欠な事なので、国民の皆さんには、是非とも理解していただきたい防衛計画です。

 

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