アノニマスが日本政府にサイバー攻撃

アノニマスのサイバーテロに対策無し
防げなかった政府の甘い危機管理

6月27日、複数の官公庁ウェブサイトがハツキングされ、警告文を掲載されたり、閲覧できなくなった。
サイバーテロを起こしたのは、国際的ハッカー集団「アノニマス」だ。
財務省や最高裁判所など複数の官公庁ウェブサイトが攻撃の的となった。
アノニマスは、海賊版ダウンロードへの罰則を盛り込んだ改正著作権法が成立したことに抗議し、サイバーテロを実施した。
彼らは事前に、日本政府などへのサイバー攻撃を予告していた。

アノニマスは次の標的を、ツイッターで民主党や自民党と表明している。

攻撃すると、宣戦布告されても何の対策もせず、簡単にハツキングされたのだ。
なんと情けないことであろうか。
政府の危機管理にあきれてしまう。

アノニマスが「ジャスミン革命」に協力し、アラブに新しい時代が来たのは事実だ。
しかし、彼らはハッキングやクラッキングを行う名も無き個人の集団なのだ。
自分たちが勝手に作り上げた、ネット上の暗黙のルールに対して、一般社会がいろいろな法案を作り出すことを許さない。
彼らにはモラルがない。
ネット上では、何でもあり、やりたい放題が彼らのルールだ。
アノニマスはネット社会の「諸刃の剣」である。

アノニマスが中共政府系サイトに攻撃計画をすると警告し、汚職など暴露するという。
これは大変に良いことと思える。
しかし、一方では自分たちが不利益になると、英政府サイトに攻撃をかけ、デジタル監視強化などに反発したりする。
米国におけるソニー子会社攻撃や、米セントルイス市長サイトに侵入し、反格差デモを支持したりする。

アノニマスの攻撃を受けたソニーのPSN個人情報流出事件は、内部で密かに処理する予定であったが、
彼らの暴露によってシステムの再構築をすることになった。

メキシコの麻薬組織セタス人質事件では、アノニマスのメンバーが人質になった。
たちまちアノニマスの精鋭が結集し、麻薬組織の情報をハッキングした。
人質を解放しないとその情報を暴露すると、警察も軍隊も恐れる組織を脅迫しネット上で交渉し、
無事、人質の解放にいたった。

米ソニー子会社が個人情報を流出したことは遺憾である。
しかし、サイバーテロは犯罪だ。
この事件では、アノニマスのメンバーが逮捕され、米連邦捜査局(FBI)の捜査に協力することに合意した。
検察当局とFBIはその後、英国とアイルランドに在住するアノニマス4人を検挙した。
アノニマスはこれまで、世界の政府機関や企業にサイバー攻撃を行ってきたが、
今回の訴追は、彼らへの警告だ。

今回の日本政府への攻撃は、ネット上の声明で、
「改正著作権法は多くの無実の市民を刑務所に入れる」として、政府機関を攻撃すると宣戦布告したのである。
攻撃前日には、国有地の物件情報を提供している財務省のウェブサイトに
「我々はアノニマスだ。我々は許さない」などとする文書が挿入された。

今回、彼らの攻撃を受ける原因となった法案だが、国会で時間をかけた審議もせず、なぜ罰則化を進めたのだろうか?

国内のネツトには、多くの違法ファイルが蔓延(まんえん)している。
そこで、日本レコード協会は昨年から政府に新法案を作るように、圧力を掛けてきたのだ。
同協会によると、国内で違法ダウンロードされるファイル数は年間43億6千万、
正規の音楽配信に換算すると6683億円とする推計を発表した。
こうして、音楽や映像を違法に複製した海賊版をインターネットを通じてダウンロードする行為に罰則を科す著作権法の改正案が
衆院本会議で可決され、参院で成立した。
文部科学委員会では刑罰にかかわる部分の審議をせず、法曹関係者などから「言語道断」と批判する声が上がっていた。
文化審議会著作権分科会も刑罰化に結論を出していない。
しかし、音楽業界の主張を受け、自民、公明両党が刑罰化を求め、民主党も受け入れたのだ。

この法案に対して、ネットの自由を主張するインターネットユーザー協会(MIAU)や
評論家や専門家をはじめ、一部の国会議員や日本弁護士連合会も反対を表明していた。

この国の法案作りはどうなっているのだろう。
憲法違反の「暴排条例」が堂々とまかり通ったり、一部の業界の意見だけで法案が通ったりしている。

今回の案件において、二つの問題が発生した。
ひとつは、よく審議もせず可決された法案。
そして、それにより生じたアノニマスのテロを防げなかったセキュリティシステム。

これからもアノニマスの攻撃は続く。
日本のセキュリティ技術の低さに大いに不安を覚えるのだ。

今年の初めに、増税や共通番号制度といった事項が閣議決定された。
いわゆる「マイナンバー」だ。
ところが、どのラインを使用するか等が協議されていない。
危機管理の意識が低い議員たちが選択するのは、おそらくインターネツトである。
スパイ防止法も確立されていない上、セキュリティに問題がある現状で、大変危険な行為だ。
アノニマスなら簡単にシステムに侵入して、個人情報を入手できる。なりすましも可能になる。
国民の情報がネツト上に溢れる事になるのだ。

ではどうして日本の技術力が低いのか?
日本の大手企業は高学歴者を採用する。
頭が良いことと知識が豊富なら何事にも対応できると信じているからだ。
ところがネツト上ではそれは通じない。
高学歴神話をまだ信じているこの国の情けないこと・・・
高学歴者より秋葉のオタクの方が当然「上」なのだ。
十代の少年のほうが「上」なのだ。
高学歴者がネツトのヒーローにはなれないことを、この国のトップたちは気づいていない。
だから、危機管理が全く無く、アノニマスにやられてしまうのだ。

アノニマスがCIAを攻撃したことを「人ごと」だと思っているし、ウィキペディアがストライキを起こしたことも
理解していない。
田中前防衛相に防衛クイズをやったように、ネットクイズを閣僚にせよ。
しかし、質問ができる議員がいるだろうかは疑問だ。

何か起これば「想定外」になってしまう。

日本のことを真剣に考える救世主は現れないのだろうか・・・。
我が国で何が起こっているか、国民はもっと正しい情報を知らなければ成らない。

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